① 事業計画地を決めるための候補地検討
本計画のオーナーはアメリカンクラシックカーコレクターで、車を何十台も所有されています。長年収集した車を展示・整備するだけでなく、同じような趣味を持つ人々との交流を深めるような場を造りたいという思いから、主に東京郊外で平坦な敷地を探していました。平地が多く、気候的にも海沿いより乾燥しており、車のコンディションを考えたうえで好都合であったため、埼玉の土地を選定しました。同時にそれぞれの候補地でどのような風景を創り出すことができるのか、建築的空間、見通しやコストの検討をたてました。主に 8 か所ほどで検討し、それぞれの候補地に対して建築的なレイアウトと全体のランドスケープ、おおよその構造、事業費を比較していきました。敷地によっては、農地や市街化調整区域という基本的には建築を建てるのが難しい土地が多かったため、その検証と事業の見通しを立てる難易度が非常に高かったです。
② コストの検証と土地の購入
最終的な候補地で今一度精度を挙げ、行政との協議を行いました。見通しが立ってきたら、土地の購入の手続きを不動産と共に行いました。
③ 基礎打ち合わせ、基本的なデザインの検討
土地の購入契約を済ませた後にまずは上下水道、電気、ガス(プロパンガス)、通信設備などのインフラの引き込みの基礎打ち合わせを行いました。特に雨天時、雨を敷地の外に出さないようにする計算などは慎重に行います。それと同時に建築の基本的なデザインの検討を行います。敷地周辺の環境に上手く調和できるか、居心地のよい空間であるか、検討を重ねていきます。
④ 許可書の申請
基本的な建築の形、敷地の計画内容が固まったら、最終的な開発許可申請を都市計画課に申請します。行政の中で、都市計画課、建築課、土木課、消防、上下水道局など半年ほどの時間を経て審査してもらいます。その半年の間に、詳細部分の設計を完了させ、三社ほどのゼネコンに見積もりを依頼し、一ヵ月ほどかけて適切な工事業者を事業者と共に選定します。また入札期間と並行して、建築確認申請を行います。建築確認申請の許可は、都市計画法での開発許可書が添付されていることが条件なので、それぞれの許可がタイミング的に合うようスケジュールを立てるのが重要です。
⑤ 全ての許可が下り、いよいよ工事の始まり
まずは地盤調査により地耐力を今一度確認します。その確認のあとに、地縄といって建物のおおよその位置を出します。そして、地鎮祭です。地鎮祭は神主さんにより土地を清めてもらい、施主、設計者、工事会社をはじめとする工事関係者で工事の安全を祈願します。地鎮祭のあとは根切りといって土地を掘り、その後は墨出しを行います。
⑥ 基礎工事と並行し、防火水槽の設置を行う
基礎工事は、きちんと鉄筋の仕様と配置が設計通りに組まれているかを確認し、設備の先行配管も確認します。
⑦ 木造の建方工事を行う
建方工事では、プレカット図通りに木造架行ができていることを確認します。
⑧ 上棟式
建方も棟木が終わったらいよいよ上棟式です。安全祈願のため行います。
その後屋根工事、外壁工事を行います。今回も通気工法を採用し、外壁と屋根のなかが結露しないよう配慮します。
⑨ 防蟻処理を行う
住民にも優しい、環境に配慮した除虫菊を取り入れます。
⑩ 先行配管、外構工事を行う
⑪ 外部に透湿防水紙を貼り、通気胴縁を施工、最後に外壁を貼っていく同時に室内の内部工事、断熱工事も進めていきます。
⑫ 郵便受けや小物、最後にシャッターを設置し完成
⑬ 役所検査
検査は都市計画での開発検査と建築建物の建築完了検査、消防検査が無事に終わり、セキュリティーやインターネットなどの弱電工事のセットアップが終わったら引き渡しです。